イライラは体質からの改善が必要です
イライラせずに毎日を穏やかな気持ちで過ごしたいものです。
一言にイライラしやすいと言っても、その様子は一人ひとり違うものです。
- はっきりとした理由があってイライラしている。
- 特に理由がないのに、なんとなくイライラしている。
- 普段は平気なのに、ちょっとしたきっかけでイライラしてしまう。
- イライラの背景に不安感がある。
- 月経前にイライラする。
- 便秘が続くとイライラしてくる。
イライラはご本人だけでなく、その周囲の方にまで影響を与えてしまいます。
また、イライラしてつい言いすぎてしまったことで自己嫌悪におちいることもあるかもしれません。
インターネット上ではイライラの感情をコントロールする方法として、腹式呼吸や瞑想、軽い運動や睡眠環境の改善などが紹介されています。
それらの一般的な方法でも改善しない場合は、漢方薬による体質からの改善が必要な状態です。
イライラ体質の漢方治療
過剰なイライラはからだの不調のサイン
漢方医学では、こころとからだを別々に考えるのではなく、密接に関わりのある一つのものと考えます。
必要以上にイライラしてしまう、日常生活に影響が出るほどイライラしてしまう。
この状態は、必ずしも精神的な問題だけではなく、あるいは性格的な問題だけでなく、からだ(身体)の不調が「イライラ」というこころ(精神)の不調を引き起こしていると考えます。
また、逆の見方をすればイライラしやすいという精神状態は、ご自身でも気づいていない身体の不調のサインでもあるのです。
イライラの原因は肝(かん)のトラブル
漢方医学では、内臓を肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)の5つに分類します。
漢方医学では、イライラしやすい原因は肝(かん)のトラブルにあると考えます。
ここでいう肝は、西洋医学的な肝臓とは異なります。
- 自律神経を整える
- ストレスをコントロールする
- 体内の血液量を調節する
- 生理を調節する
- 筋肉の動きをコントロールする
肝は、緊張や不安、興奮、イライラなどの精神的なストレスをコントロールする臓器です。
慢性的にストレス状態が続くと、ストレスを解毒する肝が弱り、十分にその機能を果たせなくなります。
肝気欝結(かんきうっけつ)
ストレスを解毒しきれずに、肝にどんどん溜まってしまった状態を肝気欝結(かんきうっけつ)といいます。肝気欝結では薄荷(はっか)や蘇葉(そよう)、枳実(きじつ)などの香りのよい生薬で停滞した気(き)のめぐりを改善する必要があります。
肝陽上亢(かんようじょうこう)
肝が弱り怒りの感情を抑えることが難しくなった状態を肝陽上亢(かんようじょうこう)といいます。肝陽上亢では、芍薬(しゃくやく)や地黄(じおう)の配合された漢方薬で弱った肝に栄養とうるおいを与えることでイライラ体質を改善していきます。
肝火上炎(かんかじょうえん)
あまりにも怒りの炎が大きすぎて肝がオーバーヒートしてしまい、どんどん燃え広がっている状態を肝火上炎(かんかじょうえん)といいます。肝火上炎では、清熱剤と呼ばれる黄連(おうれん)や黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)などの生薬が配合された漢方薬で怒りの炎と火照った頭をクールダウンしていきます。
肝の不調以外の原因
イライラ体質の原因の大半は肝(かん)のトラブルですが、それ以外にも様々な原因で感情のコントロールが難しくなることがあります。とくにイライラにつながりやすい不調として慢性的な便秘と月経前症候群(PMS)があげられます。
便秘とイライラ
便秘が続くとイライラしやすくなった経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
便秘により悪玉菌の増加による腸内環境の乱れや、自律神経の乱れが起こります。また、単純に便が出ないということ自体もストレスとなり、イライラの原因となります。
イライラすると肩がこるように、イライラすると大腸の動きも固くなります。便秘が続くとイライラする、そのイライラがさらに便秘を悪化させてしまうのです。
月経前症候群(PMS)とイライラ
月経(生理)前になるとイライラするけれども、月経が始まってしまえば気持ちが落ち着くという方も多くおられます。
これは、女性ホルモンの影響により感情のコントロールが乱されていることによるものです。月経前にイライラしやすくなる場合は、アロマやストレッチなどの一般的なリラックス方法ではあまり効果がありません。月経周期で大きく変動する女性ホルモンを安定させるためには、不足した血(けつ)を補い、滞った血のめぐりを改善する必要があります。
月経前のイライラについては、下記のページもご覧ください。
おわりに
イライラした状態というのは精神的にも肉体的にもしんどいものです。また、ご家族など周囲の方にとってもよい状態とは言えません。
イライラというのは必ずしも性格的な問題だけではなく、その大半はストレスをコントロールする肝(かん)の不調によるものです。
漢方相談の中で、「先生、どうやったらストレスがなくなりますか?」と聞かれることがあります。残念ながら現代社会においてストレスを無くすことはできません。大切なことは、適切にストレスを受け流す、適切にストレスを解毒することです。そのための体質改善の方法が漢方医学にはあります。
まずはお気軽にご相談ください。