ED(勃起障害)とは
DEとは 「Erectile Dysfunction」の略で、日本語では勃起障害や勃起不全と訳されます。以前はインポテンツと呼ばれていました。
EDでは、陰茎が十分に勃起しないため、性行為が満足に行えない状態となります。
また、まったく勃起できない状態でなくとも、
・勃起に時間がかかる
・勃起しても途中で萎えてしまう(中折れ)
・満足のいく性交ができない
などの状態は、いずれも EDの疑いがあります。
勃起の仕組み
勃起は本能的で単純なもののように考えられがちですが、実際には複雑なメカニズムで引き起こされる生理現象です。
勃起とは、簡単に言えば「陰茎に大量の血液がたまった状態」です。
- 男性が性的刺激(視覚、触覚、聴覚など)を受けることで、脳の中枢神経が興奮します。
- その興奮は脊髄を通り、陰茎へと伝達されます。
- 陰茎の動脈と、海綿体の筋肉が緩み、陰茎に大量の血液が流れ込み、勃起します。
- 大量の血液で陰茎の静脈が圧迫されることで、勃起が持続します。
勃起が起こるためには、神経や血管が正常に働き、また勃起に関わるさまざまな物質(NO、c-GMPなど)が放出されなくてはいけません。これらのうち一部でもトラブルがあると、正常な勃起は起こらなくなります。
心因性のED(勃起不全)
糖尿病などの身体的な原因によりED(勃起不全)が起こることはあります。
しかし、実際にEDを訴える方の大半は、身体的な病気は無く、「心因性」つまりは過度なストレスやうつ病が原因となっています。
ストレスやうつ病により、慢性的に血流が悪く、神経伝達もスムーズに行われていないため、EDを引き起こしてしまします。
自慰行為ではスムーズに射精に至れるのに、パートナーとの性交時には勃起できない、あるいは射精に至れないという方も多くおられます。
これは、何事においても完璧を求められる現代社会の中で、性交時にも「完璧でなければいけない」「失敗してはいけない」とプレッシャーを感じてしまうことが原因です。
また、性交時の一度の失敗がトラウマとなり、「次も上手くいかないかもしれない」という不安感から、パートナーとの性交自体に不安や恐怖を感じてしまう方もいます。
ED(勃起不全)の西洋医学的治療
EDでお医者さんを受診すると、一般的にはバイアグラ®、シアリス®、レビトラ®が処方されます。これらは陰茎への血流を増やすことで勃起させる薬です。
身体的なトラブルが原因の場合には有効な薬ではありますが、ストレスなどの「心因性」の場合には、根本的な治療とは言えません。
漢方薬による心因性EDの治療
気(き) | 元気、やる気、勇気の本質 体を温める働き 免疫力、抵抗力を高める |
血(けつ) | 体のすみずみまで栄養を届ける 意識や思考を正常にする 肌や髪に栄養を与える 生理を正常にする |
水(水) | 粘膜を潤す 関節を滑らかにする 気の流れを整える |
ストレスによる緊張状態やうつ状態、自信喪失などの状態を、漢方では「気(き)のめぐりが悪い」と表現します。
気は、気持ちの”気”です。元気や勇気、やる気の源であり、生命力そのものを指します。
日々の生活や仕事の中で、知らず知らずのうちにストレスが積み重なり、つまりは気のめぐりが悪くなっていき、いつしか心身ともにガチガチに固くなってしまいます。この状態では当然、血流も悪くなり自然な勃起や満足のいく性交は得られません。
たとえ自分自身ではストレスを感じていると思わなくても、特別な病気もないのにED(勃起障害)があれば、それはご自身が気づいていないだけで、実は気のめぐりが悪くなっている可能性が高いと考えられます。
漢方医学では、気のめぐりが悪い状態を気滞(きたい)といいます。
◆気滞(きたい)の症状◆
- 胸やみぞおち部分が張って苦しい
- のどに何か詰まっている感じがする
- 胃やお腹が張る
- げっぷやおならが多い
- 寝つきが悪い、朝起きれない
心因性ED(勃起不全)の漢方治療では、一人ひとり異なる体質や症状に合わせて、気のめぐりを改善すると同時に血流や自律神経の乱れを整える柴胡加竜骨牡蠣湯(黄芩)(さいこかりゅうこつぼれいとう・おうごん)や桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、四逆散料(しぎゃくさんりょう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などの漢方薬が頻用されます。
体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期障害、小児夜泣き、便秘
体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症
体力中等度以上で、胸腹部に重苦しさがあり、ときに不安、不眠などがあるものの次の諸症:胃炎、胃痛、腹痛、神経症
体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
勃起は本来、自然な現象です。漢方治療では、陰茎や性的興奮だけに注目するのではなく、体全体の不調を整えることで、自然なサイクルを取り戻すことを目指します。いわゆる精力剤や増大サプリなどの一時的な作用とは異なり、漢方薬であれば体質から、すなわち根本から解決することができます。
一人で悩まず、お気軽にご相談ください
ED(勃起障害)は病気とは言え、やはり人には相談しにくいのが実情です。ですが、時間がたてば治るものではありませんし、EDによる性交に対する不安感は、EDをさらに悪化させてしまいます。
俗な言い方ではありますが、やはり勃起力は男性らしさや自信に直結します。
まずはお気軽にご相談ください。